オアフ島内に路線網を張り巡らせる「TheBus(ザ・バス)」のなかで、ホノルル国際空港(ダニエル・K・イノウエ国際空港)とワイキキを結ぶ唯一の路線「20番(Route 20)」には、ハワイの現状を垣間見ながら移動できる喜びが詰まっている。そんなバス旅を紹介したい。ページ下部にワイキキの停留所と最寄りに位置するホテル・施設の一覧も付した。(2023年8月時点の情報、2025年10月16日以降の20番バスから「W Line」への変更情報も追記済み)
この20番バスはワイキキの東端から、空港の先に位置するパールハーバー(Pearl Harbor=真珠湾)あたりまで1時間半ほどかけて結ぶ。
景勝地を走るわけではないが、ルート上にはオアフ島で訪れる機会の多い観光スポットや交通の重要拠点が点在しており、20番バスさえ乗りこなすことができれば、ホノルル近郊の旅で困ることがないと思うほどだ。
【追記】2025年10月から20番バスは「W LINE(Wライン)」に変わります
ハワイ鉄道「スカイライン(Skyline)」が国際空港駅(レレパウア駅)を含めた「カハウィキ/ミドルストリート・カリヒトランジットセンター(Kahauiki/Middle Street・Kalihi Transit Center)」まで延伸開業することにともない、「20番(Route 20)」のバス路線は廃止となり、2025年10月16日以降は空港とワイキキを結ぶ快速バスの「W Line(Wライン)」という新路線に置き換えられます。本稿公開後の変更点は次の通りです。手荷物規制も緩和されました。(2025年9月26日現在の情報、10月18日更新)
- スカイラインの延伸にともない、20番(Route 20)のバス路線が廃止され、代わりに運転区間を短縮し、停車バス停を少なくした「W LINE」(快速バス)が登場し、空港とアラモアナセンターやワイキキを最短で結ぶ
- W LINEの運転区間は、レレパウア・ダニエル・K・イノウエ国際空港スカイライン駅(LELEPAUA DANIEL K. INOUYE INT’L AIRPORT SKYLINE STATION、#4848)~アラモアナセンター(ALA MOANA CENTER、空港行#761、ワイキキ行#1102)~ワイキキ・クヒオ通り(Kuhio Ave)~カパフルアベニュー+カートライトロード(Kapahulu Ave + Opp Cartwright Rd=ホノルルのホテル街東端に位置する「クイーンカピオラニホテル」近く、#4350)に短縮となる(#=バス停番号)
- 空港止めとなったため、空港の西側に位置するパールハーバー(Pearl Harbor)方面へはスカイラインに乗り換えてアクセスする形となる
- ニミッツ・ハイウェイ(Nimitz Highway=主要幹線道路)とアラモアナ・ブルーバード(Ala Moana Boulevard=主要幹線道路)を経由して空港とアラモアナセンターやワイキキを最短で結ぶようになり、空港~アラモアナセンター間を時刻表上は所要30分としている
- チャイナタウンやダウンタウンの中心部は経由しなくなるため、イオラニ宮殿などへはアクセスしづらくなる
- ワイキキ内では、現在工事中のカリアロード(Kalia Road)を通らなくなるため、「陸軍博物館」や「ハレクラニホテル」などへはアクセスしづらくなる(※工事終了後の動向は不明)
- ハワイ鉄道「Skyline(スカイライン)」へ乗り継ぎは空港駅(レレパウア駅)だけでなく、近くの「アフア・ラグーンドライブ駅(Āhua Lagoon Drive)」でも可能
- 「W LINE」の運転時間はam(早朝)4:15~am(深夜)1:30まで、日中は15分間隔、19時以降の夜間は30分間隔で運行。平日朝など10分間隔の時間帯もある
- 空港発・ワイキキ行の発車時刻は、15分間隔の時間帯は「毎時00分発/15分発/30分発/45分発」、30分間隔の時間帯は「毎時00分発/30分発」など分かりやすくなる
- 空港のバス停は、スカイライン駅の近くに新設する「レレパウア・ダニエル・K・イノウエ国際空港スカイライン駅(LELEPAUA DANIEL K. INOUYE INT’L AIRPORT SKYLINE STATION)」(#4848)の1カ所に集約され、ターミナル近くに置かれた従来の3カ所(#913・#914・#915)は廃止
- ※2025年10月17日追記:新たな空港バス停(#4848)の開業が遅れており、同停留所近くの臨時的な場所で発着しているとのこと。詳細はリアルタイム時刻表(#4848)やThe Busの公式サイトでご確認ください

レレパウア・ダニエル・K・イノウエ国際空港駅(スカイライン)のバス乗場の位置(#4848)、現在よりも各ターミナルから遠くなる。なお、スカイラインの終電後、ワイキキ21時30分~深夜1時20分ごろ発の42番バス(Route 42)5~6本が空港駅に乗り入れるようになった(スカイライン公式サイトの各駅案内ページより)
- 空港にスカイラインの駅が開業することで、空港駅の販売機などでICカード「HOLO(ホロ)カード」の購入(2ドル)やチャージ(ロード)ができるようになる。HOLOカードに3ドルを入金するとバスとスカイラインを含め2.5時間以内の乗り換えが自由となり、7.5ドルを入金すると1日券となる
- 「W LINE」の行先表示(一例)はワイキキ方面行が「W LINE WAIKIKI BEACH AND HOTELS」、空港方面行は「W LINE LELEPAUA DANIEL K. INOUYE INT’L AIRPORT SKYLINE STATION」
- ワイキキ内で「W LINE」が停車するバス停は5カ所のみとなり、バス停名と番号(#)は次の通り。番号の部分からグーグルマップのバス停位置にリンクしています
ワイキキ内で「W LINE」が停車するバス停は5カ所(2025年10月16日時点)
Ala Moana Bl + Opp Kahanamoku St(カハナモク・ストリート)(ワイキキ方面行=到着、#885)※アラモアナ・ブルーバード(Ala Moana Blvd)、「ヒルトン」や「イリカイ」近く
Ala Moana Bl + Opp Kahanamoku St(Oppカハナモク・ストリート)(空港方面行のりば、#879)※アラモアナ・ブルーバード、「アクア・パームス・ワイキキ」至近、「ヒルトン」や「イリカイ」近く(※Opp=Opposite=反対側・向かい側の意味)
Kuhio Ave + Opp Launiu St(Oppラウニウ・ストリート)(ワイキキ方面行=到着、#4255)※クヒオ通り(Kuhio Ave)、「ザ・リッツ・カールトン・スパ・ワイキキビーチ」近く
Kuhio Ave + Launiu St(ラウニウ・ストリート)(空港方面行のりば、#28)※クヒオ通り、「ザ・リッツ・カールトン・スパ・ワイキキビーチ」近く(向かい側)
Kuhio Ave + Dukes Ln(デュークス・レーン)(ワイキキ方面行=到着、#4867)※クヒオ通り、「ザ・レイロウ・オートグラフコレクション」至近、「インターナショナルマーケットプレイス」や「丸亀うどん」近く(買物の中心地最寄りの停留所)
Kuhio Ave + Opp DUKES LN(Oppデュークス・レーン)(空港方面行のりば、#4870)※クヒオ通り、「アクア・オヒア・ワイキキ」至近、「インターナショナルマーケットプレイス」や「丸亀うどん」近く(買物の中心地最寄りの停留所)
Kuhio Ave + Ohua Ave(EB=東行)(オフア・アベニュー)(ワイキキ方面行=到着、#4868)※クヒオ通り、「ワイキキビーチ・マリオット・リゾート&スパ」や「アストン・アット・ザ・バニアン」近く
Kuhio Ave + Ohua Ave(WB=西行)(オフア・アベニュー)(空港方面行のりば、#4869)※クヒオ通り、「ワイキキビーチ・マリオット・リゾート&スパ」や「アストン・アット・ザ・バニアン」近く
Kapahulu Ave + Opp Cartwright Rd(Oppカートライト・ロード)(#4350)※終点・始発、カパフル通り(Kapahulu Ave)、「クイーンカピオラニホテル」前、「ホノルル動物園」近く
- 2025年10月16日改正を踏まえたワイキキ周辺の路線図はこちら(PDF)
- 「W Line」の時刻表や路線図などはこちらのページに掲載(「W Line」と書かれた部分を参照)、バス停ごとの時刻表とリアルタイム走行情報は、接近情報サイト「HEA(Honolulu Estimated Arrival)」にバス停番号(#4848などの「#」を除いた2ケタ~4ケタの番号)を入れると確認できる
- 2025年10月16日以降、ワイキキ(クヒオ通り)を走るバスは「E=Route E CountryExpress!」「W=W Line」「2・2L=Route 2 and 2L」「8=Route 8」「13=Route 13」「42=Route 42」の6系統となる。「E」のワイキキ方面行のみ一方通行の「カラカウア通り」を経由する。これら各路線の紹介はこちらのページ中ほどに追記
・The Busにおいて「標準的なスーツケース1個と小型の機内持ち込み手荷物1個」が持ち込みできると公式に認められました。「手荷物はお客様の前方または隣に収納し、通路を塞いだり、追加の座席を占有したり、他のお客様の安全や快適性を妨げたりしてはなりません」としています。詳細はこちらをご覧ください(2025年10月18日追記)※観光客の利用が多く見込まれる「W LINE」の新設にともない、バス車内へのスーツケース持ち込み規制が大幅に緩和されるとの情報があるものの、2025年10月17日現在も公式サイト上で確認が取れません。現地の案内表示や「The BUS」の公式サイトなどで最新情報をご確認ください
以上のように変更されますので、2025年10月16日以降の本稿は、空港周辺の車窓やワイキキ周辺とパールハーバーの観光案内、ワイキキのホテル事情、2023年8月当時の治安状況などの記録としてお読みください。

アロハスタジアム(ハラワアロハスタジアム駅)~アリゾナ記念館~ホノルル国際空港~ダウンタウン~アラモアナ・センター~ワイキキを結ぶ「20番(Route 20)」のルートマップ(TheBusの2023年8月時点での公式ルートマップを加工)
アラモアナ・センター(Ala Moana Center)に始まり、ダウンタウンのイオラニ宮殿(Iolani Palace)や州会議事堂(Hawaii State Capitol)、パールハーバーの記念館群に加え、東側の終点にはホノルル動物園(Honolulu Zoo)があり、西側の終点はハワイ鉄道「スカイライン(Skyline)」の始発着駅となった「アロハスタジアム(Aloha Stadium)」である。
また、ワイキキのアラモアナ寄りにある「ハワイ陸軍博物館(Hawaii Army Museum)」や、チャイナタウン近くにある缶詰工場跡の「ドール・キャナリー(Dole Cannery)」など玄人好みのスポットも経由していく。
そんな20番バス最大の特徴は、ホノルル国際空港のターミナルビル前まで乗り入れている点にある。
ワイキキから25キロほど離れたパールハーバー近くに置かれたこの空港だが、公共交通機関によるアクセスは、この細い「TheBus」路線が唯一の存在となる。
新型コロナウイルス禍での路線統廃合を経て、2023年8月現在ではワイキキ方面への運転本数が20分から30分に1本程度にまで減らされてしまった。
加えて「TheBus」の規則では、座席の下か膝の上に収納できる手荷物以外の持ち込みはできない決まりになっており、大型スーツケースを持つような観光客の利用を事実上閉ざしている。
バスの車外前面に設けられているラックを使えば自転車さえ運べるのに、大きなスーツケースはダメなのである。
車内を大型荷物で占拠されてしまう懸念に加え、オアフ島には空港からワイキキ方面への送迎を主業とする観光・交通事業者も多いので、客を奪わぬように配慮しているのかもしれない。
たとえば、空港にはワイキキの各ホテルまで乗合(混乗)で大型荷物とともに送迎する「空港オンデマンドシャトルサービス」というものが存在し、公認事業者である「ロバーツハワイ(Roberts Hawaii)」の正規運賃は1人片道23ドル(ホテル方面行、チップ含まず)に設定されている。
島外からの空港利用者が大挙して片道3ドルの「TheBus」に乗るようなことになれば、観光と軍事産業に依存するハワイ経済にとっても収入面でプラスにはならないだろう。
一方、空港からワイキキまでに40以上のバス停が設定され、その多くに停車しながら1時間以上かけて走る「TheBus」に対し、高速道路を飛ばして一直線で結ぶ送迎シャトルの所要時間は半分ほどなので、少し高い“特急料金・荷物輸送料”と思えば相応の運賃額といえなくもない。
空港ターミナル前にバス停3カ所
ホノルル国際空港から20番バスを利用できる層は若干限られてしまうが、適度な手荷物量に抑えたうえで、時間を気にせず3ドルの現金があれば、手軽に安価で空港とホノルル中心部・ワイキキ間のアクセスが可能となる。
加えて、空港内には次の3つの停留所が設けられており意外にも便利だ。
- Airport Upper Level(Interisland Terminal)(#913)=国内線(主に島間移動)の「第1ターミナル(Terminal 1)」2番ロビー近く(ハワイアン航空利用時に便利=日本便を除く)
- Airport Upper Level(Main Terminal Ewa=西側のエワ寄りの意)(#914)=国際線の「第2ターミナル(Terminal 2)」4番ロビー近く(JALなどの利用時に便利、2022年8月からハワイアン航空の日本便もこちら)
- Airport Upper Level(Main Terminal Diamond Head=東側のダイヤモンド・ヘッド寄りの意)(#915)=国際線の「第2ターミナル」7番・8番ロビー近く(ANAやサウスウエスト航空、アシアナ航空などの利用時に便利)
バス停には停留所名が書かれていないので、空港から乗る際に意識することはないが、下車の際に覚えておくと用途に応じて歩く距離を短縮できる。
時刻表の掲示も皆無だが、停留所番号である913・914・915のいずれかを接近アプリ「DaBus(ダ・バス)」や「HEA(Honolulu Estimated Arrival)」という接近・時刻表情報を知らせるWebページに入力すれば、次のバスがいつ来るかが分かるので、不要なストレスは減らせるだろう。

TheBusで旅をする際はアプリ「DaBus(ダ・バス)」を入れておくと便利(App Storeより)

「HEA(Honolulu Estimated Arrival)」という接近・時刻表情報ページでは、停留所番号を入れれば時刻表が表示され、該当するバス便をクリックすると地図上でどこを走っているのか表示される(TheBus「HEA」より)
空港ターミナル内の道路は一方通行となっており、西行き(Westbound=パールハーバー方面)と東行き(Eastbound=ダウンタウン・ワイキキ方面)が同じバス停にやってくるので、乗り間違いの防止にもつながる。ワイキキ方面行のバスは「20 WAIKIKI BEACH & HOTELS」などと表示している。
また、空港内の停留所には「303番(Route 303)」という支線的な路線も40分間隔で乗り入れており、誤って同線の西行きに乗ってしまえば観光客にはほぼ用のないヒッカム(Hickam)空軍基地方面へ行ってしまう。
303番の東行き(Eastbound)は空港近くの「カリヒトランジットセンター(Kalihi Transit Center)」というバスターミナルが終点で、ここから1時間に4本程度運行されている「2番(ROUTE 2)」のバスに乗り換えてワイキキ方面へアクセスする方法もある。

「2番(ROUTE 2)」のバスは「カピオラニコミュニティカレッジ(Kapiolani Community College)~ワイキキ~ダウンタウン~カリヒトランジットセンター(Kalihi Transit Center)」間を結んでおり、運転本数が多い。アラモアナ・センターは通らない
専用ICカードの「HOLO(ホロ)カード」を持っていれば3ドルで2.5時間以内の乗り換えができるが、現金だと1乗車ごとに3ドルを支払うことになる。
定期券売場(Transit Pass Office)が置かれているカリヒトランジットセンターは、大人用だけでなく、ユース(6歳~17歳)やシニア(65歳以上)用のHOLOカードも入手できるTheBusの重要拠点だが、空港周辺にHOLOカードの販売場所は一切なく(2023年8月時点)、空港利用者には積極的に乗ってほしくないという意思の現れなのかもしれない。
【コラム】“ホノルル国際空港”と日系二世

ダニエル・K・イノウエ国際空港(旧ホノルル国際空港)の案内ページ(Daniel K. Inouye International Airport公式サイトより)
ハワイへの出入口となる国際空港の名を“ホノルル国際空港”と文中に表記してきたが、実際には2017年4月から「ダニエル・K・イノウエ国際空港(Daniel K. Inouye International Airport)」という名称に変更された。
空港名に使われている「ダニエル・K・イノウエ」は米国で上院議員を半世紀近くつとめていた人の名で、両親が日本生まれのハワイ移民なので、その子であるダニエル・ケン・イノウエ氏(1924~2012)は現地生まれの「日系二世」ということになる。
1941(昭和16)年の日本軍による真珠湾(パールハーバー)攻撃を機として、米国西海岸を中心に「日本に関係する住民は収容所にブチ込んでしまえ!」といった考え方が色濃くなっていった頃にハワイの大学生だったイノウエ氏。国家への忠誠を示すため米軍兵に志願し、欧州戦線では右腕を失いながらも戦闘を続けて帰国後に勲章を受けたという。
米国に住む日系人の地位を向上させ、その後は民主党に所属する国会(上院)議員としても国家に貢献し、2012年の没後は故郷の空港名にその名が冠されることになった。日本で言えば、高知空港を「吉田茂空港」にしたり、新潟空港に「田中角栄空港」といった名を付けたりするようなイメージだろうか。郷土の偉人的な存在だ。
米国におけるイノウエ氏の功績は日本人にとっても誇らしいことは間違いない。ただ、文中では地名が冠されていないと場所が分かりづらいという理由から「ホノルル国際空港」という旧名称による表記を続けた。
同空港内では2023年8月現在、国内線用の「ターミナル1」(「A1~A12」ゲートへアクセスするフロア内)と、国際線用の「ターミナル2」(「C1~C9」などのゲートへ向かう通路上)にそれぞれイノウエ氏を紹介する特設展示コーナーがある。国内線・国際線のどちらの利用者もいずれかの展示見学が可能となっており、ターミナル1の展示内容はインターネット上でも再現中だ。
加えて、ターミナル1(A14ゲート方向にある「プレミアクラブラウンジ」の隣)にはイノウエ氏のように日系二世で米軍に志願して活躍した退役軍人の団体「NVLC(Nisei Veterans Legacy Center=二世ベテランレガシーセンター)」が大型展示を実施する。
また、ターミナル2(「C1~C9」などのゲートへ向かう通路上)には、1950年代に日本のプロ野球「読売ジャイアンツ」で活躍し、1960年代から80年代まで「中日ドラゴンズ」での監督経験をはじめ、複数のパ・リーグ球団でもコーチをつとめた日系二世のウォーリー与那嶺(与那嶺要)氏(1925~2011)に関する特設展示コーナーも設けられていた。
なんだか、この国際空港は「ホノルル・イノウエ・ニッケイ空港」くらいの名前がちょうど良いのではないかと思うが、ハワイには日本と同様に中国やフィリピンなどアジア太平洋の周辺諸国からの移民も多く、王国時代に米国本土からやって来た人も広くは移民といえる。
そんな全移民のなかでも二世を代表してイノウエ氏の名を象徴的に使ったという考え方もできそうだ。
ハワイの先住民に関しては、カメハメハをはじめ、カラカウアやクヒオ、カピオラニなど王族の名が今も著名な通り(道路)名として使われ、居住者と観光客に広く親しまれている。
ホノルルまでに40超のバス停
ホノルル国際空港の話が長くなったが、そろそろ20番バスの旅に出たい。
空港ターミナルからワイキキの中央部付近に位置する「クヒオ+シーサイド(Kuhio Ave + Seaside Ave)」まで、時刻表上では1時間5分で着くことになっているが、あくまでも目安だ。

「20番バス」の東行き(Eastbound)平日時刻表の一例、主要停留所の時刻のみを掲載し、24時間表示ではなく、午前(a)と午後(p)で表示。おおむね20分から30分に1本程度の運行となっている(TheBus公式サイトより、2023年8月20日改正分)
ホノルル名物ともいえる渋滞に当たってしまったら平気で数十分単位の遅れが発生するし、途中に40以上ある停留所での乗降が多ければ運行時間が積み重なっていく。
複雑なバス路線と簡素な案内に困って運転手を質問攻めにしたり、キャッシュレスに慣れすぎて現金を持っていなかったりする観光客の存在も所要時間の増大に貢献するだろう。
空港や中心部で目立つこうした客に加え、次々と現れる信号でもじわじわと時を費していくことになる。
しかし、ハワイに着いてすぐ「TheBus」に乗るような客は荷物の少ない熟練した旅行者か、好奇心の強い旅人または所持金を節約するバックパッカー、あるいはカマアイナと称される地元住民くらいなので遅れを気にしているような人はあまり見たことがない。
そもそもバス停などリアルの場に時刻表がなく、遅れているのか順調なのかの判断がつきづらい。ワイキキまで平均で1時間半前後の所要ではないかと個人的には見ているが、渋滞していればもっとかかるだろうし、順調なら1時間超で到達できる。
「ドール」缶詰工場跡の風景
20番バスは、空港内の複雑なアクセス道路を抜けると、片側だけで5車線以上ある幹線道路「ニミッツ・ハイウェイ(Nimitz Highway)」に入る。
“ハイウェイ”といっても信号機のある大型国道というイメージで、信号のない高速道路「H-1(Interstate H-1)」はニミッツ・ハイウェイの上部を遮る高架上に設けられていて、通常の旅行者はここをぶっ飛ばす送迎バスやタクシーに乗って即座にワイキキ方面へ向かっているはずだ。
「TheBus」は各駅停車なので“下道”を延々と走ることになるが、生活圏から少し離れた大型道路上に置かれたバス停での乗り降りは少なく、ニミッツ・ハイウェイでは運転手も気持ちよさそうに速度を上げる。
空を遮っていた「H-1」と離れてカリヒ(Kalihi)の街に入ると、いかにも郊外の国道沿いといった大型のマクドナルドやショッピングセンターが現れ、海に近いせいか倉庫めいた建物と馬力のありそうな大型ボンネットのトラックが目立ってきた。壁に落書きも多い。
到着後すぐにホノルル近郊の乾いた車窓を見せつけられると、ワイキキという街はテーマパークのごとく人工的に築かれた“夢の楽園”なのだなと思わされる。
ニミッツ・ハイウェイを離れ、チャイナタウンへ向かう直前で迂回するように立ち寄るのが「ドール・キャナリー(Dole Cannery)」で、ここは20番のバスだけが通るエリアだ。
1990年代初頭まで使っていた缶詰工場の再活用策として、当時の雰囲気を残しながらも商業やオフィス、映画館などの複合施設に改装して一時は賑わったというが、今は操業停止間際の工場群といった様相である。
ハワイ王国時代に創業し、オアフでのパイナップルとサトウキビ生産から世界的企業に飛躍していったドール(Dole)だが、創業の島に残る工場跡の活用は再転換期を迎えているように見える。
そして、寂れた工場街といった雰囲気が招いているのか、周辺道路にはホームレスとみられる人たちの姿が目立ってきた。
年中気候の優れたホノルルは、路上で寝ていても命に関わるようなことがないためか、最後の有り金をはたいて米国本土からハワイにやってきてホームレスになっているとの分析もあり、その数は増加傾向が見られるという。
チャイナタウンの治安は悪いのか
ハワイの歴史と現在の課題を凝縮したような旧缶詰工場のエリアを抜けると、次に現れるのがチャイナタウンである。
埃っぽい郊外の工業地帯の雰囲気から一気にアジア風の街並みに変わり、行き交う人の数も増えてきたが、バス通り沿いでも空き店舗が目立つ。その前では、だれたシャツ姿の中高年男たちが寝転んでいる姿も車窓から見える。
チャイナタウンは知名度の高さもあって、先ほどのカリヒ以上に「治安が悪い」というレッテルが貼られることの多いエリアだ。団体旅行で添乗員に尋ねれてみれば「できるだけ近づかないように」とアドバイスされるであろう。
地元のテレビ局「KITV4」は今年(2023年)6月、観光客にも知られるチャイナタウンのマーケットプレイスでホームレスと犯罪者の多さに頭を痛めた運営者が、人員不足の地元警察もあてにならないので、自費によって民間警備チームを組織したと報じている。
別の日にはチャイナタウンの酒屋は依存症や路上犯罪の遠因となるので、酒販売の免許を取り消すべきとの声が出ている、といったニュースもあった。
チャイナタウンの治安の悪さを裏付けるような話を紹介してしまったが、実は「KITV4」のサイトを見る限り、犯罪に関するニュースはワイキキのほうが多い。

ハワイの地元テレビ局「KITV4」の公式サイト、英語のみだがブラウザの「日本語翻訳」を使えば日本語でも内容が分かる
特に昨年(2022年)は目立っており、12月に観光客も使うワイキキのホテルに拳銃を持った男が長時間立てこもって膠着したため警察が射殺する事態となり、同月はクヒオ通り付近で21歳男性が5人の男に襲撃を受けて撲殺されるという事件も発生した。3月と8月にはワイキキのビーチ付近でナイフや銃を持って暴れる男を警察が取り押さえる様子を撮影した映像も残されている。
ほかにも強盗や窃盗など、治安面に関するニュースは「KITV4」でそれなりの数にのぼっており、ワイキキビーチ近くに居住する住民が発したとされる「私たちは恐怖の中で暮らしている。楽園にはいません」(2022年9月6日公開)というコメントに現状の深刻さを感じた。
報道に接する限り、人の集まるワイキキやチャイナタウンでの犯罪は目立つが、オアフ島全体でそうした事件は起きているようで、100万都市の治安があまり良い状態ではないことがうかがえる。
3年続いたコロナ禍での経済状況悪化に加え、オアフ島で警察官の人数がかなり不足していると報じられているのも影響しているのだろうか。背景はわからない。
ワイキキでは「手を打たねば観光客が来なくなる」と危機感を抱いた地元団体や警察が対策強化に動いているといった内容の報道も目立つ。
日本から7時間超をかけてホノルルに到着後、時差ぼけと寝不足で朦朧としているが、なぜか20番バスの車内では眠気が生じず、ずっと窓と車内を凝視していられるのは現在の治安状況を知ってしまったことが影響しているのかもしれない。
スリや泥棒程度に注意を払うだけでよかった時代が懐かしいとも感じるが、ホームレスの増加も治安の悪化も、それがオアフ島の日常の姿であり、「TheBus」の車窓からそんな一端を感じ取れたことは意義深いと思った。
現実を受け入れ、“夢の楽園”は人工の場に過ぎないことを認識したうえで行かないと、毎日が「青い海の祝祭」のような暖かく心地良い空気だけを浴び続ければ、もう日本へは帰りたくなくなってしまいかねない。
イオラニ宮殿からアラモアナへ
チャイナタウンを抜けた20番バスは、官公庁が目立つ整然とした街並みのダウンタウンに移り、ハワイ王国を象徴する「イオラニ宮殿(Iolani Palace)」を左手に見ながらサウスキング通り(South King Street)を進む。
このあたりの道路は一方通行が多く、西行き(空港方面)のバスはイオラニ宮殿の裏側にある「州会議事堂(Hawaii State Capitol)」の真横に沿うサウスベレタニア通り(South Beretania Street)を経由している。
イオラニ宮殿と州会議事堂という2つの著名な観光スポットは車窓からも少し眺められるが、下車する場合は車内放送で「パンチボウル(Punchbowl)」という通り名が流れたところが至近で、カメハメハ大王像も近い。20番バスはダウンタウン観光にも便利である。
ダウンタウンを過ぎたバスは、海沿いの「アラモアナ・ブルーバード(Ala Moana Boulevard)」へとのんびり歩みを進めた。
壁アートがSNS映えする「おしゃれな街」などとして日本人観光客にもアピールされつつあるカカアコ(Kaka’ako)の街に入ると、車窓にもウォールアートに彩られた建物がちらちら現れるようになった。道の両側には大型の商業店舗が多く、郊外と都心の中間的な国道沿いの風景といった感もする。
バスが走っている道の名は“ブルーバード”とついているので、昔日本で流行した車の名を思い出してしまうが、「大通り」くらいの意味で使われているのだろう。
この大きな主要道路は、ワイキキのヒルトンホテル群あたりをスタートして海沿いの「アロハ・タワー(Aloha Tower)」付近にいたり、その先はニミッツ・ハイウェイにつながる。空港に直結できる幹線道路ゆえか、空港送迎車の姿が目立ち始めた。
20番バスもアラモアナ・ブルーバードとニミッツ・ハイウェイを素直に直進すれば空港までの所要時間を大幅に短縮できそうだが、ダウンタウンの中心部から少し離れた海沿いを通る道路なので、集客面で課題があるのだろう。速達性を重視するよりも客のいそうなところを無理してでもまわるのが路線バスである。
車内の自動放送で通り名の“アラモアナ”と聴くたびに大型ショッピングセンターが頭に浮かんでくるが、「海への道」といった意味を持つ地名なのだという。
空港から延々と走り通したバスは、“海への道”の地で象徴的かつ老舗の大規模施設である「アラモアナ・センター(Ala Moana Center)」に着く。ここまで来ると、もうワイキキに着いたも同然の気持ちになってきた。
20番バスは、ワイキキ方面行が「アラモアナ・ビーチパーク」の真横にあるバス停に停まり、空港方面行はアラモアナセンターの海側玄関口の至近に停車する。(※「42番」と「E系統」も同じ場所)
海側にあるアラモアナ・ブルーバード沿いのバス停は、センターの玄関を入ればすぐにフードコートという環境なので、手軽な腹ごしらえにも適している。ビーチも近い。
なお、多くの人がビーチパークと呼ぶ“ビーチ公園”の正式名は「アラモアナ・リージョナルパーク(Ala Moana Regional Park)」と呼ぶそうである。
買物のついでに海水浴、いや海水浴ついでの買物なのかは分からないが、これだけビーチが近い巨大ショッピングセンターもめずらしいのではないか。“夢の国ワイキキ”とは少し違った生活感のあるビーチは旅慣れた層にも好かれるかもしれない。
ワイキキのホテル街に11のバス停
アラモアナ・センターを出た20番バスは、アラワイ運河(Ala Wai Canal)を渡ってワイキキに入った。
もうこの先は、各自が滞在するホテルやコンドミニアムの近くで下車するだけのエリアだ。
ワイキキのホテル・コンドミニアムといっても、観光客向けではアラモアナ・センター寄りにある西端の「プリンスワイキキ」から、東端のホノルル動物園近くに位置する「クイーンカピオラニホテル」までは3キロほど離れている。

ワイキキの街中にあるホテル分布案内図、アラモアナ・センターにもっとも近い西端の「プリンスワイキキ」(地図下部)からダイヤモンド・ヘッド側の動物園近くに位置する「クイーンカピオラニホテル」(地図上部)まで3キロほど離れている。地図上の青色の部分はホテル・コンドミニアム、赤色が商業施設(写真上に主要なホテル・場所を書き加えた)
20番バスの場合、この間に11カ所の停留所に停まるのでほとんどのホテルに苦労なくアクセスできるのだが、バス停間の距離が短いため、案内放送を聞くか、電光掲示板や車窓を眺めていないと降り過ごすことがある。
1つ2つ乗り過ごしたところで、歩いてもそう遠くはない距離ではあるが、少し損をした気にもなる。下記にバス停名と近くにあるホテルや商業施設を停車順にまとめてみた。
停留所名はヨコとタテ、またはタテとヨコの「通り名」を2つ合わせたシンプルなものとなっており、バス停に表示はされてないが、車内放送では聴くことができるので、“降りるボタン”を押すタイミングの参考になるかもしれない。

「20番バス」には大型の連接バスが使われていることが多く、座席数が豊富なので座れる確率が高い。前方と後方のそれぞれに出口がある。日本のような押しボタン式の降車ボタンも設置。従来のように窓際に沿うヒモを引っ張って知らせることもできる
余談だが、ホテルのチェックイン時間前で部屋に入れないという場合は、「クヒオ+シーサイド(Kuhio Ave + Seaside Ave)」で下車し、近くの商業施設「インターナショナルマーケットプレイス(International Market Place)」や「ワイキキショッピングプラザ(Waikiki Shopping Plaza)」内にある「ラウンジ」でひと休みするのも良いかもしれない。
JCBカードや楽天カード、三井住友系カード、ANAマイレージクラブなど、さまざまな会員向けに無料開放しており、日本人向けの休憩所として重宝するだろう。
アラモアナセンターから先、ワイキキ内での「20番バス」停車順序

ワイキキ内のバス停位置の目安、なおこの路線図は新型コロナ禍前の情報なので、その後の統廃合・改正によって路線番号は変更されている箇所が目立つ(2019年冬版の「TheBus2019SystemMap」にバス停位置の目安などを追記)
Ala Moana Bl + Hobron Ln(アラモアナ+ホブロン):ザ・モダンホノルル/イリカイ/プリンスワイキキなど
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Kalia Rd + Paoa Pl(カリア+パオア):ヒルトンハワイアンビレッジなど
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Kalia Rd + Saratoga Rd(カリア+サラトガ):ハワイ陸軍博物館/アウトリガーリーフワイキキビーチリゾート/トランプインターナショナルホテルワイキキ/エンバシースイーツバイヒルトンワイキキビーチウォーク/ハレクラニホテルなど
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Saratoga Rd + Kalakaua Ave(サラトガ+カラカウア):ホノルル郵便局/ポリネシアンレジデンシーズホテルワイキキなど
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Kuhio Ave + Opp Launiu St(クヒオ+ラウニウ):ザ・リッツカールトンレジデンスワイキキビーチなど
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Kuhio Ave + Lewers St(クヒオ+レワーズ):オハナワイキキマリア・バイアウトリガー/コートヤード・バイマリオットワイキキビーチ/ワイキキギャラリアタワーなど
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Kuhio Ave + Seaside Ave(クヒオ+シーサイド):ハイアットセントリックワイキキビーチホテル/ザ・レイロウオートグラフコレクション/丸亀うどん/インターナショナルマーケットプレイス/ワイキキショッピングプラザなど
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Kuhio Ave + Kaiulani Ave(クヒオ+カイウラニ):プリンセスカイウラニ像/オハナワイキキイースト・バイアウトリガー/ワイキキマーケット(スーパー)/シェラトンプリンセスカイウラニなど
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Kuhio Ave + Liliuokalani Ave(クヒオ+リリウオカラニ):ヒルトンワイキキビーチ/アロヒラニリゾートワイキキビーチ/クヒオビレッジタワーズなど
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Kuhio Ave + Paoakalani Ave(クヒオ+パオアカラニ):ワイキキビーチマリオットリゾート&スパ/アストンアットザバニアン/ハイアットプレイスワイキキビーチなど
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Kapahulu Ave + Kalakaua Ave(カパフル+カラカウア):パークショアワイキキホテル/クイーンカピオラニホテル/ワイキキグランドホテル/ツインフィン/ホノルル動物園など
(※)西行き=Westbound(アラモアナ・空港方面行)のバス停は少し離れた場所にあったり、停留所名が異なったりする場合がある
(※)ワイキキ内では「23番バス(Route 23)」(アラモアナセンター・コナストリート[山側の停留所]~ワイキキ~シーライフパーク)が同じルートを通っているが2023年8月時点では1時間に1本ほどの運行にとどまる
空港から近いパールハーバー
これまでホノルル国際空港からワイキキまで、東行き(Eastbound)の様子を記してきたが、空港から西行き(Westbound)の「20番バス」に乗れば、パールハーバー(Pearl Harbor=真珠湾)まで約20分、終点の「アロハスタジアム(Aloha Stadium)」へは約25分ほどの距離で、ワイキキへ行くよりも近い。
アロハスタジアムは、6月末に開業したばかりのハワイ鉄道「スカイライン(Skyline)」の始発着駅(Halawa Aloha Stadium Rail Station)となっており、乗り継ぐにも最適な環境だ。
また、パールハーバーでは「アリゾナ記念館(Arizona Memorial)」など、真珠湾攻撃に関係する施設群の“総合出入口”近くまで乗り入れてくれるので、戦争史跡周遊客にとっても欠かせない交通機関となっている。
ワイキキからアリゾナ記念館までは確実に1時間以上を要する長距離乗車となるが、空港から乗ると半分以下の所要時間で済むので、飛行機に乗る前後に訪れる場所としても良いのかもしれない。
空港を出た西行きのバスは、“高速道路”の高架に遮られた「ニミッツ・ハイウェイ」から「カメハメハ・ハイウェイ(Kamehameha Highway)」に入り、記念館近くに来ると、昼間は出入口前に置かれたバス停まで乗り入れてくれる。東行き(アラモアナ・ワイキキ方面行)は乗り入れないので、カメハメハ・ハイウェイ沿いのバス停まで歩く必要がある。
一連のパールハーバー記念館群の“総合出入口”的な役割を果たすのがバス停の至近にある「ビジターセンター(Pearl Harbor Historic Sites Visitor Center)」だ。
ここは基礎的な展示物の見学ができて入場料も無料なのだが、財布やカメラといった小物類以外の荷物は一切持ち込めないという規則があって、預けると1点あたり7ドルが徴収される。
軍関連施設ゆえセキュリティ上の措置なのだろうか。日本的な発想ではコインロッカーでも設置すれば良いと思うのだが、荷物を預かるためだけに専用の建物を設けていて、手荷物を持つ来訪者はそこへ預けに行く必要がある。
“初老近いご婦人”といった雰囲気を持つ複数の係員が決してスピーディーとは言えない動作で観光客らの荷物を預かったり返却したりしている姿を見ると、手荷物預かり所の存在は軍関係者と配偶者の職場を確保する一環なのだろうか、などと余計な想像をしてしまう。
一方、メイン施設といえる海上に置かれた「アリゾナ記念館」も入場料金こそ無料だが、訪れるにはインターネットでの事前予約が必要で、競争率が高く手間を要する。
このほか「戦艦ミズーリ記念館」とか「航空博物館」とか「潜水艦博物館」もあってこちらは予約不要だが、相応の入場料が必要で、全部入れる共通チケットの価格は約90ドル。日本で換金した際のレート(146円=2023年8月)で計算すると1万3000円である。
高額な入場料もさることながら、ビジターセンターも含めて5施設をすべて見学などすれば日が暮れてしまいそうだし、そもそも“加害者”側とされる国民かつ個人的には英語の難もあるので長居は難しい気がした。
なお、ワイキキの「カリア+サラトガ(Kalia Rd + Saratoga Rd)」バス停近くの米軍用地(フォート・デルッシー)内にある「ハワイ陸軍博物館(U.S. Army Museum of Hawaii)」は、入場無料なうえに展示物が豊富で、パールハーバーに関する内容もある。荷物の持ち込み禁止規則もなく、ワイキキの多くのホテルから歩いていける距離なので、見学してみるのもいいかもしれない。
パールハーバーまで来ると、20番バスの終点「アロハスタジアム」へは5分も走れば着く。その先はハワイ鉄道「スカイライン」が接続している。
スカイラインは、暫定的にアロハスタジアムを始発着駅としているが、ダウンタウン方面へ延伸する工事が徐々に行われており、2025年にはホノルル国際空港を経由して、カリヒ(Kalihi)の街の西端にあるTheBusの重要拠点「カリヒトランジットセンター(Kalihi Transit Center)」付近までの区間を開業させるのだという。
その時、スカイラインとルートが重複してしまう「20番バス」の運行区間が短縮されてしまうのだろうか。今回の開業時に真っ先に短縮された路線が20番だった。
ただ、これまで幾度も完成が遅れた鉄道なので、アナウンス通りの時期に延伸開業ができるかどうかはわからない。
観光客にとっては、沖縄の「ゆいレール」のように空港から街の中心部までレールで結ばれることが望ましい姿だが、オアフ島にそんな日は来るのだろうか。
当分の間は、空港から20番バスに揺られることになりそうだが、それはそれで嬉しい。
(※)スカイラインについては次の原稿「ハワイ鉄道・スカイラインの車窓から」に詳細
(2023年9月公開)










































