複雑なパリ地下鉄、重視したい3路線

RER(エール・ウ・エール)の「C線」

「B」「C」「1」、この3つを覚えておけばパリ観光はほぼ困らない――迷路のように20近くの路線がひしめく地下鉄に乗りながら、そんなことを思った。運賃や治安なども含めてパリの地下鉄を効率的に活用する方法と、それを補完する市内の路線バスについても紹介したい。(情報は2025年7月現在)

英国ロンドンから「ユーロスター(Eurostar)」でパリ北駅(Paris Gare du Nord)に着き、地下鉄を使って1日半ほど観光で街を歩いていると、乗る路線が同じ傾向となることが分かってきた。

パリ市内の地下鉄は、駅と路線を細かく張り巡らせた「メトロ(Métro de Paris)」が14路線あり、「1」から「14」までの路線番号が振られている。これが一般的な地下鉄線といえる。

メトロ(地下鉄線)の出入口は市内のいたるところで見かける(2024年12月)

同じ地下には「RER(エール・ウ・エール)」という鉄道も走っていて、「イル・ド・フランス地域圏急行鉄道網(Réseau express régional d’Île-de-France)」というのが正式名だという。

このRERも「A」から「E」まで5つの路線があって、メトロと比べ駅の数が少ないのが特徴で、“高速地下鉄”と訳しているケースも見られる。日本で言えば横須賀・総武快速線の「新橋~東京~新日本橋~馬喰町」間みたいに都心部の地下に乗り入れ、駅を置いている郊外電車のイメージだ。

郊外線の「RER」は駅数こそ少ないが著名スポットの近くに出入口がある(2024年12月)

RERは郊外からの通勤客をパリ都心へ運ぶのが主な役割だが、主要駅にしか停車しないうえ、多くの観光スポット近くに駅が置かれていて観光客にも利便性が高い。「アルファベットの路線は“急行線”」と覚えておくのが分かりやすいかもしれない。

地下鉄線の「メトロ」も郊外列車「RER」も同じ「RATPパリ交通公団Regie Autonome des Transports Parisiens)」という組織が運営しているため、チケットは共通で、有効期間内なら両線の乗り換えも自由。“パリ地下鉄”として一体化した存在といえる。

主要スポットに「B」「C」「1」の駅

そんなメトロとRERで、観光時に利用頻度が高くなりそうなのが、RERの「B線」と「C線」、メトロ1号線」の計3つの路線である。

下の路線図を見ると、パリ中心部の主要スポット近くには、B線かC線、または1号線の駅が見つかるのではないだろうか。

パリ市内の「メトロ」(1~14号線)と「RER」(A~E)などの鉄道路線図、観光スポットの近くには「1」「B」「C」の駅が目立つ。右上がシャルル・ド・ゴール国際空港方面、左下がベルサイユ方面(RATPが提供するパリ市内路線図「Imprimer le plan」に観光地やターミナル駅の位置、路線番号などを追記した。2025年7月ダウンロードのデータを加工)

空港とパリ北駅に乗り入れる「B線」

RER「B線」の路線図、左下が「シャルル・ド・ゴール国際空港(Aéroport Paris-Charles-de-Gaulle)」、中央左寄りがパリ中心部の「パリ北駅(Paris Gare du Nord)」など(RATPが提供している2025年7月時点の路線図に主要駅部分に赤い線を入れる加工を行った)

RERの「B線」は「シャルル・ド・ゴール国際空港(Aéroport Paris-Charles-de-Gaulle)」と、高速列車のTGVやユーロスターが発着する主要ターミナル・パリ北駅に乗り入れていることが最大の強みとなる。空港からパリ北駅までの所要は40分前後(※ただし空港のみ特別運賃が適用されるので運賃は通常よりはるかに高い)

パリ北駅の次は、RER「A線」や「1号線」などメトロ4路線に乗り換えができる「シャトレ=レ・アル駅(Châtelet-Les Halles)」に停車する。ここシャトレはパリ随一の乗り換え駅だ。

B線とC線が交わる「サンミッシェル=ノートルダム駅(St-Michel Notre-Dame)」のサンミッシェル橋近くに置かれた出入口、左奥がノートルダム大聖堂(2024年12月)

そして次がノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame)と世界遺産の「パリのセーヌ河岸」にアクセスでき、「C線」への乗り換えも可能な「サンミッシェル=ノートルダム駅(St-Michel Notre-Dame)」となっている。

B線はパリ北駅ではD線とホームを共有しており、乗り換えが容易。写真下のホーム右側がB線(2024年12月)

B線はパリ北駅とシャトレ=レ・アル駅の間で「D線」と並走しており、パリ北では乗場別の同じホームを使用。パリ・リヨン駅(Gare de Lyon)方面へ行くD線の列車にすぐ乗り換えができる。

エッフェル塔やベルサイユへ「C線」

RER「C線」の路線図、左下がベルサイユ宮殿最寄りの「ヴェルサイユ=シャトー駅(Château de Versailles)」、真中が乗り換えスポットの「サンミッシェル=ノートルダム駅(St-Michel Notre-Dame)」(RATPが提供している2025年7月時点の路線図に主要駅部分に赤い線を入れる加工を行った)

サンミッシェル=ノートルダム駅で接続するRERの「C線」は、メトロ線では若干行きづらいセーヌ川(la Seine)左岸の「オルセー美術館(Musée d’Orsay)」や「エッフェル塔(La tour Eiffel)」の至近駅にアクセスできるのがメリット。

サンミッシェル=ノートルダム駅の列車案内板、同じ方面でも行先が複数あり、「 Versailles Château」(ヴェルサイユ=シャトー)と表示された列車がベルサイユ宮殿の最寄り駅まで行く(2024年12月)

RER「C線」の列車はほとんどが2階建てとなっており、ヴェルサイユ=シャトー行の車内は観光客が目立つ(2024年12月)

そして、C線はパリ中心部から20キロ以上離れた「ベルサイユ宮殿(Palais de Versailles)」の最寄りとなる「ヴェルサイユ=シャトー駅(Château de Versailles)」まで行く列車が運転されている。RERではB線とともに観光客の乗る割合が多い路線だ。

なお、中心部のサンミッシェル=ノートルダム駅からヴェルサイユ=シャトー駅までは約40分を要する。

メトロ「1号線」はルーブル、凱旋門へ

メトロ「1号線」の路線図、観光スポットの最寄り駅が多いゆえに列車の方向(ホーム)を間違いやすく、逆方面の列車に乗らないよう注意したい(RATPが提供している2025年7月時点の路線図に主要駅部分に赤い線を入れる加工を行った)

シャトレ駅(シャトレ=レ・アル駅)でB線と接続しているメトロの「1号線」は、ルーブル美術館(Musée du Louvre)やエトワール凱旋門(Arc de triomphe de l’Étoile)など、パリ観光時に一度は乗る路線だ。

日本で言う明治33年、1900年に開業したパリ最古の地下鉄なので地下は古式ゆかしき雰囲気もあるが、列車は無人運転で先頭と最後尾は展望スペースに(2024年12月)

エトワール凱旋門からコンコルド広場(Place de la Concorde)付近まではシャンゼリゼ通り(Avenue des Champs-Élysées)の直下を通っており、途中に3駅が置かれているので、シャンゼリゼ散策に疲れた時も頼りになる。

利用客が多いため列車はすぐにやってくる。写真の「バスティーユ(Bastille)駅」だけが地上に置かれ、ほかはすべて地下にある(2024年12月)

パリ市庁舎の至近に「オテル・ド・ヴィル(Hôtel de Ville)駅」を置いているあたり、トップナンバーを付けたパリ最古の地下鉄路線ならではだが、意外にも自動運転が導入されていて列車の本数も多く、時おり日本語の自動放送もあって驚かされる。RERより手軽で使いやすい。

「B」「C」「1」で行けないスポット

RERの「B線」と「C線」、メトロ「1号線」の3つを使いこなせば、パリ中心部の主要観光地に加え、シャルル・ド・ゴール空港からベルサイユ宮殿までカバーできる。

それでも、これら3路線ではアクセスできない著名スポットもある。

オペラ・ガルニエ(オペラ座)はメトロ「3」「7」「8」号線が交わるオペラ駅(Opéra)が近く、RER「A線」のオーベール駅(Auber)からも接続(2024年12月)

それがパリの中心地とされる「オペラ・ガルニエ(Palais Garnier、オペラ座)」で、ここへ行くにはRERの「A線」やメトロの「7号線」などに乗り換えが必要となる。

また「ディズニーランド・パリ(Disneyland Paris)」を観光の中心とする場合は、RERの「A線」が最重要となるだろう(A線終点のマルヌ=ラ=ヴァレ・シェシー駅、Gare de Marne-la-Vallee-Chessy下車)

パリ北駅から案外近い観光スポット「モンマルトル(Montmartre)の丘」へは、「2号線」や「12号線」でアプローチするのが一般的なようだ。

メトロのパリ東駅(Gare de l’Est)は「4」「5」「7」号線が乗り入れ、近くの通りにちなんだ「ヴェルダン(Verdun)」の名も付されている(2024年12月)

TGVやドイツ方面への国際列車が発着する「パリ東駅(Gare de l’Est)」は、隣接するパリ北駅から徒歩7~8分でアクセスできるが、メトロ線を使う場合は「4号線」「5号線」「7号線」の駅が置かれている。

ノートルダム大聖堂あたりを起点に“時計回り”で市内を観光する場合、エッフェル塔からエトワール凱旋門(シャンゼリゼ通り)へ直接アクセスできるメトロ「6号線」も大事な存在で、この線は西部方面へのTGVが発着する「パリ・モンパルナス駅(Gare Montparnasse)」へもアクセスできる。

メトロではエッフェル塔の最寄りとなるビラケム駅(Bir-Hakeim)付近を走る「6号線」(2024年12月)

「B」「C」「1」に加え、RERの「A」やメトロの各路線を必要に応じて使いこなすことができれば、パリ市内の移動で困ることはないはずだ。

運賃は2時間券が2.5ユーロ

これらメトロとRERの運賃は、全区間(空港のみ別料金)で2時間有効のチケット(Metro-Train-RER Ticket)が「2.5ユーロ(400円)」、4~9歳は「1.25ユーロ(200円)」となっている(2025年1月から適用中)。

)1ユーロ(€)=160円で計算

メトロやRERなどの鉄道は1回乗車の運賃が2.5ユーロで2時間以内なら距離の制限は無い(空港駅は除く)、紙の切符(磁気券)は廃止が決まっているためか、ICカードの「ナヴィゴ・イージー(The Navigo Easy)」が描かれている(RATP公式サイトより)

2024年末までは「ゾーン制」が採用されていたので、乗る距離によって運賃は変わったが、2025年から“初乗り運賃”を若干上げたうえで全線均一に改められた。

2時間乗車あたり約400円なので、ヴェルサイユ宮殿やディズニーランドへ行くRER郊外路線に乗れば割安で価値がある。

一方、中心部の観光で数駅間だけを乗るのにいちいち400円を支払うのは少しもったいないし手間でもある。

1日券が12€、ICカード代は2€

観光でパリの街を巡るなら、メトロ線・RERなど鉄道線(空港を除く)とバスにも乗れる1日券の「ナヴィゴ・ジュール(Navigo Jour)」は12ユーロ(1920円)なので、こちらを使うほうが楽かもしれない。

ターミナル駅の自動券売機はそれなりに高機能だが慣れないと操作が困難(パリ北駅、2024年12月)

1日券は、ICカードの「ナヴィゴ・イージー(The Navigo Easy)」を別途2ユーロ(320円)を払って窓口か券売機で購入し、このICカードに1日券を書き込んで使う形となる。

あるいは、スマートフォンの「Bonjour(ボンジュール)RATP」というアプリをダウンロードし、アプリ上で1日券を購入して使うこともできる。

RATP(パリ交通公団)は、2025年中に紙のチケット(日本で言う磁気券)を廃止すると告知しているので、一般的な2時間有効のチケットを買う場合もICカードかアプリが必須ということになりそうだ。

RER「B線」などで空港駅(Aéroport)にアクセスすると1回乗車(2時間有効)の運賃が13ユーロに跳ね上がる(bonjour-ratp.frより)

なお、RERの「B線」が乗り入れているシャルル・ド・ゴール空港と、メトロ「7号線」とトラムでアクセスできる「オルリー空港(Aéroport de Paris-Orly)」の空港内各駅を発着する場合は特別運賃が適用され、2時間有効で13ユーロ(2080円)と急激に高くなる。1日券の「ナヴィゴ・ジュール」も空港だけは適用外だ。

空港アクセス運賃だけを見ると、パリ地下鉄(メトロ・RER)は、とかく高額運賃で知られるロンドン地下鉄を見習っているのかと思ってしまう。

地下鉄は治安面で抜けぬ緊張感

パリの地下鉄は「治安が悪い」という情報は昔から多かったが、今もインターネット上などで散見され、RERは特に危険性が高いとの見方も強い。

客の少ない車内では緊張する(イメージ)

個人的な感想を書き残すと、イギリスから移動したので、ロンドン地下鉄と比べると、パリはメトロ線もRER線も雰囲気がよくないことを一瞬で感じた。

ゴミも目立つし、鉄道乗車とは関係のない層が駅構内にたむろしている姿も度々見かける。子どもの物乞いは日本ではまず見ない光景だった。

古い車両の路線や寂れた駅のホーム、空いている車内では緊張感が高まる。何度も車両間や車内位置を移動したこともあり、どこであってもスリやひったくりに遭いそうにさえ感じてしまう。

メトロ1号線の「ルーヴル=リヴォリ駅(Louvre-Rivoli)」はルーブル美術館最寄りだけあってホームからアート作品が展示されている(2024年12月)

少しだけ安心できたのは、メトロ1号線の「ルーヴル=リヴォリ(Louvre-Rivoli)」のようにホームからして美術館のように美しい駅に降りた時だ。あまり見つけることはできなかったが、パリ地下鉄にもほっとできる場所はあった。

1号線は運転本数も利用者も多く、車両も古くないためか犯罪の雰囲気をあまり感じなかったが、RERは郊外電車なので地下鉄ほど頻繁には走っておらず、中心部の駅であっても人が少なくなる時間帯が生じ、不安を感じさせるのかもしれない。

RERを走る2階建て車両の階下席は、地下区間ではより暗く感じる(2024年12月)

感覚的なアドバイスを記しておくなら、パリで地下鉄に乗る際は、ロンドン地下鉄の2倍、ウィーン地下鉄の3倍、日本の地下鉄乗車時の5倍くらいの緊張感を持つのが良いのではないかと思う。

ペラペラのICカードは大丈夫?

パリを訪問したのは2024年12月のクリスマス前後。パリ北駅の地下にある地下鉄のチケット売場は券売機も含めて大行列で、窓口に並んで2日有効券(2025年からこの2日券はなくなった)を何とか買った。

パリ北駅地下の有人窓口は長蛇の列、日本と同様に券売機の列と比べ年齢層が高い(2024年12月)

2024年末までは「ゾーン制」が採用されていて複雑だったためか、係員がうんうん唸りながらICカード「ナヴィゴ・イージー(Navigo Easy)」にチケット情報を読み込ませていた。

このナヴィゴ・イージーは、ICカードと言ってもスイカ(Suica)やパスモ(PASMO)のようなプラスチック制ではなく、厚紙を使ったペラペラの代物だった(発行場所によってはプラスチック製の場合もあるとか)。

カード代金として1500円近く取られるロンドン地下鉄の「オイスターカード(Oyster Card)」よりは良心的だが、それでもこのペラペラカードにも2ユーロ(320円)の代金が必要だ。

私のICカード「ナヴィゴ・イージー(Navigo Easy)」は改札機に感知されないことが多々あった(2024年12月)

私のナヴィゴ・イージーは、見た目も不安だったが改札機では誤作動を度々起こし、入場できなくなることが発生した。ICカードのせいなのか、改札機の不具合かは分からない。

ただ、よくあることなのか、前の人がバーを押さえて開けていてくれたり、係員に言うとカード情報も確認せずに改札を開けてくれたりした。

こんな信用度なので、クレジットカード情報が必要となるアプリは怖くて使えず、何度かに1回は誤作動するペラペラの“ナヴィゴ・イージー2日券”を我慢して使い続けた。不具合があれば窓口交換できるとのことだが、言語面の不安と並ぶ手間から回避した。

地下鉄の出口ではチケットのチェックは無く、改札内からドアの前に立つと開くだけ(2024年12月)

ある時、市内中心部でバスに乗ったら、中年男性客グループに扮していた5人ほどの「私服検札員」が車内にいて、ナヴィゴ・イージーに書き込まれた内容をチェックされた。

もし、このときに運悪く誤作動してチケットの存在を確認できなければ、不正乗車と認定されて1万円くらいの罰金を取られるのだろう。不具合も自己責任とされてしまう。

RATP(パリ交通公団)では2025年中に紙のチケット(磁気券)を廃止する方針。写真は2024年末まで使われていた鉄道・バス共通の紙チケット(2024年12月)

パリ地下鉄では2025年中に紙のチケット(日本で言う磁気券)を廃止し、ナヴィゴ・イージーなどのICカードと、アプリに集約するというが、その前に改札機とICカードの正確性をもっと上げるべきでは、と思うのは私のような日本人だけだろうか。

パリをくまなく走る「RATPバス」

パリの街を走っている公共交通は地下鉄だけではない。“市バス”は「RATPバス」とも呼ばれ、鉄道と同じRATP(パリ交通公団)が運営しており、中心部だけでも60以上の路線を持っている。

パリの“市バス(RATPバス)”は市内に60路線以上を走らせており、そこら中で見かける(2024年12月)

2024年末までパリ市内では地下鉄もバスも共通の1回乗車券(2.15ユーロ)となっていたが、2025年1月からは「鉄道(2.5ユーロ)」と「バス(2ユーロ)」は別の運賃体系に変わった。バスは0.15ユーロ値下げされたことになる。

12ユーロ(1920円)の1日券「ナビゴー・ジュール(Navigo Jour)」なら電車もバスも乗ることができるので、地下鉄だけでなくバスも使って観光するならこのフリー券を購入するのが便利かもしれない。

バスは上下移動なく目的地へ行けるので地下鉄より便利な場合がある(2024年12月)

その“パリRATPバス”は路線数が多く、すべてを把握するのが地元在住者でも難しいのではないかと思えるが、観光に使えそうな路線を1つだけ紹介したい。

北駅発着、TGV連絡バス的な「91番」

数ある路線のなかで、観光客が覚えておきたいのが「91番」のバスではないだろうか。

パリの「北駅(Gare du Nord)」を起点に、となりの「東駅(Gare de l’Est)」に立ち寄り、「リヨン駅(Gare de Lyon Diderot)」、「オステルリッツ駅(Gare d’Austerlitz)」を経由し、終点の「モンパルナス駅(Montparnasse 2 Gare TGV)」に至る。

91番バスの路線図、パリ北駅(Paris Gare du Nord)とモンパルナス駅のTGV乗場(Montparnasse 2-Gare TGV)を結び、途中に3つのターミナルに立ち寄る(RATPが提供している2025年7月時点の路線図に主要駅部分に赤い線を入れる加工を行った)

パリの鉄道ターミナル駅は6つあるが、「サン・ラザール駅(Gare Saint-Lazare)」以外5駅にすべて立ち寄るルートを走っており、TGVが発着する「北」「東」「リヨン」「モンパルナス」の4駅を網羅。“TGV連絡バス”といえる存在だ。

街で91番バスを見つけて乗り込めば、方向(行先)を間違わない限り必ず5駅に連れていってくれる

運転本数も多く、連接バスを使っていることが多い91番バス(2024年12月)

北駅発で見ると、平日は朝6時から深夜0時40分まで3分~15分間隔で運行されており、7月・8月と学校休暇中、土曜日、日曜祝日は本数が若干少なくなり、日曜祝日の運転開始は朝7時からとなる。

ダイヤ上では15分以内に必ず1本は運転されることになっており、渋滞などがなければ、おおむね5分から10分に1本という運転間隔のようだ。

91番のバスはパリ北駅からモンパルナス駅へ真っすぐ走らずリヨン駅やオステルリッツ駅に立ち寄っているので時間を要する(RATPの経路案内「bonjour-ratp.fr」より)

RATPの公式経路案内では、北駅から終点モンパルナス駅までの間には「28の停留所」があり「47分間で結ぶ」と出てくるが、道路が混めばもっと時間がかかるだろう。各駅へ寄るため遠回り気味なルートを走っているので渋滞に巻き込まれる可能性が高くなる。また、北駅からリヨン駅までの所要は21分だという。

そもそも、北駅からモンパルナス駅へはメトロ4号線で直行できるし、リヨン駅へはRERのD線ならわずか2駅で着く。

バスは時間が読めないので、あくまでも車窓観光を兼ねてのんびり乗るのがいいと乗車してみて思った。

バスはのんびり街を眺めながらの移動にも最適(2024年12月)

なお、この91番バスで唯一アクセスできないサン・ラザール駅へは、北駅から「43番」のバスに乗れば15分(途中8停留所)ほどで着く。RERの「E線」なら1駅の距離である。

ルーブルやモンマルトルへも

パリは地下鉄網(メトロ・RER)が優れているので、バスは速達性でかなわないが、利便性で勝ることもある。

たとえば、「ルーブル美術館」ではバス停が“ルーブルピラミッド”に近いカルーゼル広場に置かれており、地下鉄駅を使うより歩く手間が省ける

ルーブル美術館のバス停はルーブルピラミッドに近い場所にあるので歩く距離が少なくて済む(2024年12月)

ルーブルピラミッド至近に着く路線は4つあり、「39番」はパリ北駅発で、「68番」と「69番」はオルセー美術館へもアクセスでき、「95番」は中心地のオペラ座を通っている。

また、パリ北駅から距離的には近いけど、地下鉄でのアクセスが面倒で、歩けば30分以上かかる「モンマルトルの丘」へは、パリ東駅や北駅から「54番」のバスに乗って15分ほど、「アンベール=サクレクール(Anvers-Sacre Coeur)」停留所で降りれば、地下鉄2号線の「アンベール(Anvers)」駅前。モンマルトルの丘の玄関口だ。

バスを乗りこなすことができれば街をより深く知ることができそう(2024年12月)

こうしたバスならではのメリットは多々あるはずで、地下鉄と違って車窓が楽しめるので街を知るうえでも心強い存在となるだろう。

なお、RATPの各交通機関については公式サイト「Bonjour RATP」の情報量が多く、マップ類も豊富に提供している。バスの路線番号を打ち込めば各路線ごとに詳しい地図や情報も見られる。運行ルートが変わったり、長期の工事運休もあるため、実際に稼働しているのかどうかをルート検索や、ブラウザの日本語翻訳機能も活用して事前に確認しておきたい。

公式サイト「Bonjour RATP」の英語版をブラウザ(Google Chrome)の「日本語翻訳」で見た際の画面、少し違和感もあるが日本語で多くの情報が得られる(2025年8月1日閲覧、https://www.bonjour-ratp.fr/en/より)

(2024年12月旅行、2025年8月記事公開)

記事「パリ発TGV東線と仏独国境の地域鉄道」はこちら

記事「ロンドン地下鉄の高額運賃と脱現金化」はこちら

ヨーロッパ鉄道紀行の記事一覧はこちら